気づきの日記「不安なときには、今ここに戻りましょう」

私たちが不安になったり、気持ちが落ちこむようなとき・・・それはきまって自分の空想に入りこんでいるときです。

空想と言われてもピンとこないかもしれませんが、空想とは自分のこころが勝手に紡いでいる個人的なストーリーです。私たちはアタマのなかだけで、ありもしない現実をでっちあげてしまっているのです。

たった今この瞬間に自分が目にしているもの、体験していること、それ以外は全部空想といえます。

今、私はパソコンのキーボードをたたいていますが、キーボードをたたくことが今ここで起きていることです。

しかし、この作業をしながら「明日のお友だちとのランチ、どこに行こうかな?」と考えはじめたり、「さっき友人にメールを送ったけれど、読んでくれたかな?」というのは全部空想です。「今ここ」とは関係がなく、未来や過去についての考えだからです。

空想をはじめると、別の空想へとどんどん連鎖してゆきます。「ランチ、どこに行こうかな?」から始まって、「お店、予約しないと入れないかも?」「入れなかったらどこに行こう?」「Aちゃんの好物だったら、あのお店かな」・・・というように、空想は勝手に展開してゆきます。しかし、どれもまだ起こっていないことなので今ここを調べてみてもどこにもありません。

これがもっと深刻なことであれば、知らないうちにストーリーはどんどん痛ましいものとなり、気づけばどこまでがほんとうでどこまでが空想なのかさえわからなくなってしまうのです。

私たちがかかわることができるのは目のまえにある「今ここ」の瞬間だけです。

それ以外はたんにでっちあげの空想、自分個人が捏造したストーリーにすぎません。それはほんとうのことではありません。

あくまでも個人的な空想であるから、全体とのつながりがありません。自分だけの世界なので、空想をしているときには孤独で、こころもとない感じがするのです。

しかし、「今ここ」というこの瞬間は、とても静かで安らかです。どのような空想も邪魔をしていないからピュアで安定しているのです。

アタマを静かにして、空想のない今この瞬間を感じてみてください。何が感じられますか?五感を開いて感じてみましょう。

洋服はちゃんと着ています(たぶん・・・)。身体はひとつなので「今ここ」の瞬間には一着あれば十分です。クローゼットいっぱいのお洋服は必要ありません。お腹もほどほどに満たされているかもしれません。冷蔵庫に何が入っているかなど、どうでもいいのです。そして、部屋に坐っているのなら、「今ここ」の瞬間は、お金をまったく必要としないかもしれません。預金残高がいくらであろうとも。

そこにいきなり、「そうはいっても、来月の支払いまでに収入がちゃんとあるか心配・・・」という未来の空想が入りこむと、もうすでに「今ここ」はどこかに消え去り、まさに自分の空想に入りこんでしまいます。

来月といものは、空想の中以外にはどこにもありません。不安になっているということは「ありもしないストーリー」をでっちあげてしまったというサインなのです。

「今ここ」以外の、明日や来週、来月という未来、あるいは昨日やあのときという過去は、たった今この瞬間には想像以外にはありえないのです。ありえないものは、自分の管轄外です。

過ぎ去ってしまった時間はすぐに手放さなければなりません。まだ来ていない時間には手を伸ばしてはいけません。なぜなら、「今ここ」と向き合うためのスペースがなくなってしまうからです。そして、「今ここ」としっかりつながれないのなら、幸せを感じることができないのです。

私たちの「今ここ」は、宇宙の秩序によって守られ、支えられているたったひとつの次元です。たったひとつの次元だからこそ、ここにいなければなりません。

そして、「今ここ」は愛に満ちている次元です。しかし、空想のなかには宇宙の秩序は存在していないし、愛も存在していません。

「今ここ」は、瞬間瞬間の導きでもあります。一瞬一瞬が私たちを安全に導いてくれているのです。自分を幸せにすることがない過去や未来に足をとられないために。

こころを開いて、リラックスして、「今ここ」につながるようにしてみましょう。それは、アタマを空っぽにして、目のまえで起きていることを丸ごと迎え入れることです。

自分の計画、これも空想以外のなにものでもないのですが、その計画に執着することなく、瞬間瞬間に明かされる「今ここ」という宇宙が与えてくれる道に安心してついて行ってみましょう。

自分の空想を手放すと、きっと空想のなかには存在したことのない嬉しい驚きやびっくりするような流れがやってくることでしょう。

自分の想像を超えた嬉しい驚きを体験させてもらいましょう。すると、「今ここ」の導きこそが予想外でありながら、完全に信頼できることを確信することができるでしょう。これは実行してみて、体験することが大切です。

不安や落ちこみを感じるときには、それが自分の空想であることにまず気づいてみましょう。そして、静かにこころから手放し、たった今目のまえにある体験にこころを集中してみるようにしましょう。

「気づきの日記」バックナンバーはこちら: 古川 貴子 / ヒプノセラピーカウンセリングリコネクション

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