気づきの日記「 “べき”ルールは苦しみのもと ~こころの声に耳を傾ける~」

私たちは無意識のうちに、たくさんの「べき」ルールに従って生きています。

「こうであるべき」「こうしなくちゃいけない」「こういうものだ」「これが当然だ」というような。

自分がどのような「べき」ルールに縛られているか、気づくことができますか? 「べき」ルールは、自分にとってあたりまえすぎるため、その存在に気づくのは難しいものです。

「夫だから、妻だから、こうすべき」「親として、こうあるべき」「男として、女として、こう振る舞うのが当然」「友だちなんだから、こうして」「こんなトシだから、こうあるべき」などなど、役割やら人間関係、お金、仕事、将来のことなど、さまざまな「べき」ルールが存在します。

残念ながら「べき」ルールがあれば、楽しさや喜び、軽やかさが感じられず、義務感や疲労感、怒り、あるいは麻痺したような無感覚に陥っているかもしれません。

自分にとってあたりまえになりすぎた「べき」ルールを意識化し、よく検討してみる必要があります。「これって絶対にほんとう?」「この考えは私を幸せにしてくれる?」というように。

「こうであるべき」「こうしなくてはいけない」・・・という「べき」ルールは、結果として罪悪感や怖れを生み出すことになります。

たとえば、「人から誘われたら断ってはいけない」というような「べき」ルールがあれば、自分がそのルールを破ろうものなら冷たい人であるかのような罪悪感を感じてしまうことでしょう。また、他の人もこのルールに従わなければ、こころのなかで相手を責めてしまうかもしれません。

また、「(進路や収入、達成などについて)私はこういう人生を生きるべき」という、一定の目標やゴールについての「べき」ルールがあれば、もしそこからはずれるようなことがあれば、自分は能力がなくダメな人間であるという怖れに囚われてしまうことでしょう。こちらもまた、他人に対しても同じ目線が向けられてしまいます。

「こうであるべき」という「べき」ルールがあればあるほど、こころが不自由になり、楽しさや喜び、自由という幸せの感覚からは遠のいてしまうのです。

そもそも「べき」ルールは、「こういうルールに従わなければ、幸せは手に入らない」という怖れから生み出された防御策です。

「こうしていればダメな人だと思われずにすむ」「こうしていれば人から受け入れられる」・・・そんな思いが潜んだルールの下には、そもそも自分はダメなのだ・・・という怖れが隠されており、怖れのルールは怖れのみを生み出すことになります。

さらにもっと悪いことには、「べき」ルールは怯えているエゴのためのものなので、ほんとうの自分に目覚める機会をも奪ってしまうのです。

「べき」ルールはまさに、ほんとうの自分にかけられた呪縛そのものであり、不自由な自己になり下がることなのです。

幸せそのものであるほんとうの自分に戻るためには、まったく制限がなく開け放たれた自由なこころでいる必要があります。そんなこころのスペースにこそ、宇宙からの導きがやってくるからです。

「べき」ルールはつねに外側の世界に合わせようとしているため、「べき」ルールに従って反応する限り、自分のなかにあるこころの声や直感、導きにまったく気づくことができなくなってしまいます。

外の世界と折り合いをつけようと「べき」ルールを適用するたび、自分のこころがほんとうはどう感じているのか、どうしたいのか、何が心地よいのか、何が大切なのか・・・自分の内側にあるほんとうの声を見失ってしまうのです。

その結果、「べき」ルールこそが正解で、自分のこころの声はまるで間違っているように感じてしまいます。

自分を制限してしまう「べき」ルールにぜひ気づき、勇気を出して手放してみましょう。

すると、古いパターンが解放されたことで風通しがよくなり、軽やかで動きやすく感じるかもしれません。

今まで「べき」という名目で自分に犠牲をしいてきたこと、またその犠牲を他の人にも要求してきたことに気づくことでしょう。

こころに迎え入れた新しい風は、新たなドアを押し開き、もっと自分らしい心地のよい世界へと誘ってくれます。

新たな風が背中を押してくれる世界は、努力によって無理やりうまくやる世界ではなく、もっと自然に優しく運ばれる軽やかな世界です。すべてのことが「気がついたらうまくいっていたわ!」というように、世界と格闘する必要がなくなるのです。

怖れや罪悪感を生み出す「べき」ルールがないからこそ、安らぎや、喜びを感じることができるようになります。こころに安らぎや喜びがあれば、さらに安らぎや喜びを生み出す導きがやってきてそのような世界を見せてくれるのです。

「べき」ルールがないところで、内なるこころの声に耳を傾け、全面的に従うことによって、すべてのことは努力なく安らかに歩をすすめることができるようになります。

軽やかに人生を生きるためには、自分を窒息させ怖れさせる「べき」ルールに目を光らせ、どんどんと手放してゆきましょう。


「気づきの日記」バックナンバーはこちら: 古川 貴子 / ヒプノセラピーカウンセリングリコネクション

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