お茶の間シネマトーク「モダン・ラブ ~今日もNYの街角で~」

お友だちのオススメ映画が「観たいものリスト」にひしめいています。それらをいつ観るのかは、自分でもわかりません。突発的に「これが観たい!」がやってくるまで待っているのです。

GW中、「今夜の気分はこれかな~・・・」と選んだのは、かなりまえにオススメされていたドラマシリーズ「モダン・ラブ」。

このシリーズは、NYタイムズ紙に投稿されたエッセーに基づいたリアルなドラマなのです。(→予告を見る

NYを舞台とした恋愛ストーリー?・・・ちょっと敷居が高い感じがしてはいたものの、見はじめると引き込まれました。

全編をとおして「愛する」ということにつきものの、不安や葛藤、疑惑や行き詰まり、失望や後悔など・・・恋人や夫婦に限らずさまざまな愛の形をめぐる物語が描かれています。

きっと、あちこちのちょっとした場面に自分の姿や思いを重ねあわせることがあるかもしれません。

一話めの「私の特別なドアマン」は、軍人あがりのちょっと厳格なドアマンのお話。

彼は住人のマギーをまるで見張るようにいつもでも気を配っているのです。それはときには、やりすぎでは?・・・と感じるこんな場面も。

つきあい始めたばかりの彼氏がマギーをアパートメントまで送ってくると、ドアマンはスナイパーのようにその様子に照準をあわせてつぶさに観察し、ご親切にもマギーに忠告するのです。「彼はもう連絡してこないことでしょう」と。そして、それがまたあたっているという。

「こんなドアマンいたらイヤだわ~!(汗)」と思うものの、観ているうちに何がいいのか悪いのか、一概には言えないな~と感じはじめます。

世の中はすべて画一的なルールで「良い、悪い」をハッキリ区切ろうとするけれど、正解は時と場合によって違う気がします。そして、もしそこに愛があるならば、いつだって正解にもなりうるし。

結局、このストーリーの最後にはホロリと泣かされてしまいました。

また、三話めの「ありのままの自分を受け入れて」では、アン・ハサウェイ演じるメンタルに問題を抱えた女性の新しい出会いが描かれています。

このストーリーは、その昔、友人のひとりが「自分はウツである」と私に告げたときのことを思い出させました。

じつはそれまで私は、この友人の振る舞いに疑問を感じていたのです。「なんて自己中で身勝手なの?」と、当惑することたびたびだったからです。

でも、「私はウツなの・・・」と告げられたとき、パズルのピースがパタパタとはまりすべてに合点がいって、こころのなかの重い塊が溶けてゆくように怒りや戸惑いのすべてが流れ去ったです。まさにこのストーリーは、その友人の姿そのものでした。

八話すべて見終わったあとに気づいたのですが、この作品のプロデューサー&脚本は、私の好きな監督さんのひとり、ジョン・カーニーさんでした(「シング・ストリート」「はじまりのうた」など)。

そう言われてみれば、全編ジョン・カーニーさん臭ぷんぷんです(笑)。

さて、みなさまは何話めがこころに響くでしょうか?

日常のいたるところに愛はあるけれど、私たちはみんな怖がりさんでなかなかその愛を受け取れていないのだな〜と感じます。でも、ちょっとこころを変えてあげるだけで、あちこちにささやかな愛の光があり、そんな光に包まれているのを感じはじめるかもしれません。

ちなみに、書籍でも楽しめるようですよ〜。(河出書房新社)



「お茶の間シネマトーク」バックナンバーはこちら: 古川 貴子 / ヒプノセラピーカウンセリングリコネクション

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